「木材は呼吸をしている」と表現されることもあります。
無垢の木材には、「調湿作用」という周囲の水分を吸収、放出をすることで、自らの水分量を保とうとする性質があります。
木材の乾燥が進むと、水分量(含水率)が増減しなくなる安定した状態になります。
その時の含水率を平衡含水率といい、この平衡含水率が木材の調湿作用のポイントとなります。
平衡含水率は、温度、湿度により変化しますので、湿気が多くなると平衡含水率が増え、湿気が少なくなると平衡含水率が減少します。
これは、周りが乾燥してくると、木材内の水分を放出し、湿度が高くなると木材に水分が吸収することで、周りの湿度とのバランスを保とうとします。
この性質が結果として、湿度を一定に保つことになります。
夏の湿度の高い時期には、湿気を吸うことで空気がサラっと涼しく感じ、冬の乾燥している時期は湿気を放出することで、部屋の湿度が高くなり暖かく感じます。
無垢フローリングを使うことによって、室内の湿度環境の変化を緩やかにすることができ、室内を快適に保ってくれます。
木材は、繊維の間の細かな穴に空気を含んでいるため、熱伝導率が小さく、断熱性に優れています。
熱は温度の高い方から低い方へ移動していきます。その移動の速さが「熱伝導率」で、「熱の伝えやすさ」を表しています。
熱伝導率が小さいということは、熱が伝わりにくいということになります。
鉄に触れると冷たく感じるのは、手の熱が鉄に移動しているためです。
木材と他の素材との熱伝導率を比較すると、コンクリートは約12倍、鉄は約300倍といわれています。
木造に比べ、鉄筋コンクリート造の建物が、底冷えがしたり、外気の影響を受けやすいのは、この熱伝導率の違いによるものです。
触れると温かい感触が、無垢材が好まれる理由の一つでもあります。
無垢フローリングを使うことで、夏は涼しく冬は暖かい、素足がうれしい快適な空間が創り出せます。
木材はパイプ状の細胞(導管)の集合体で、そこには空気を含んでいます。
その含まれた空気が適度な弾力を生み、導管が変形することでクッションのような役割をして、柔らかすぎず堅すぎず心地よい歩行感を得ることができます。
また、木目の凹凸が適度な摩擦となることで、滑りにくくなり、足に余計な力がかからない分、疲れにくくしてくれます。
無垢のフローリングは見た目に温もり感と共に肌触りが柔らかく、調湿作用によって表面もサラっとして、素足でも気持ちよく歩けます。
木には自然がもたらす癒しの効果があると言われています。
天然木材の色合いや木目による視覚的な効果、触れた時の触感的な効果など、「癒し」を感じことができます。
木香りの成分「フィトンチッド」は、アロマテラピーでも使われ、副交感神経を活性化させることによって、気分を落ち着かせたり、身体の調子を整える働きがあります。
木材の表面には、わずかな凹凸があり、光を拡散させることで反射を抑え、目に有害な紫外線を吸収してくれます。
美しい木目は癒しを与えてくれるだけではなく目にも優しいのです。
無垢フローリングは、オイルやワックス等でメンテナンスを施していただくと、時の経過と共に風合いが増していきます。
太陽による日焼けと樹脂の艶によるものですが、古くから良材とされてきた樹種は歳月を経るほど風格を感じさせてくれます。
経年変化の代表的な樹種にチークがあります。
艶やかな飴色に輝く木肌に変化していき、高級感や重厚感も増していきます。
風合いの変化を楽しむことも無垢材の醍醐味です。
無垢フローリングを使った家に住めば住むほど、愛着がわき、良さを実感していただけます。
自然塗装など浸透性の塗料を使用した場合は、塗膜がないので、傷やシミがつきやすくなります。
しかし、無垢フローリングを表面を削って、汚れを落とす手段もあります。
サンドペーパーなどを使って、汚れを削り落とし、再塗装を施せば、また、新しい表情を見せてくれます。
無垢フローリングならではの方法です。
※UV(ウレタン)塗装の場合は硬い塗膜を削る必要がありますので、難易度が高くなります。専門の補修業者に依頼された方がよいでしょう。