初期性能・メンテ・リフォームを反映させた不動産鑑定ツールの見直し
公益財団法人不動産流通センターは、7月31日に「既存住宅価格査定マニュアル」の改定を実施した。
これは国土交通省が昨年3月に策定した「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を反映した新しい中古戸建ての評価方法です。
「中古住宅に係る建物評価手法の改善のあり方検討委員会」が策定した指針は以下の通り。
- 住宅を基礎・躯体と内外装・設備に大きく分類し、基礎・躯体については、性能に応じて、20 年より長い耐用年数を設定し、例えば長期優良住宅であれば100年超の耐用年数とすることを許容する
- 基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームを行った場合は住宅の価値が回復・向上するととらえて評価に反映する
こと等を評価の改善の基本的な考え方として示しています。
「既存住宅価格査定マニュアル」の改定のポイント。
- 建物の基礎・躯体のタンクを最上位のものから標準的なものまで5段階に分け、それぞれの耐用年数を設定した。
- 基礎・躯体について、劣化状況の判定を価格査定に反映できる仕組みとした。
- 屋根、外壁、外部建具、内部建具、内装、台所、浴室・洗面・トイレ、給湯設備の各部位について、修繕や取替えといったリフォームを価格査定に反映するため、リフォームされた部位の耐用年数が遠心する仕組みとした。
一般的に、経年による基準を元に、建物状態の良し悪しなどはほとんど考慮されてこなかった「築後20年から25年程度で一律に市場価値がゼロになる」との判断基準が、基礎。躯体については、性能に応じた耐用年数を設定し、たとえば長期優良住宅であれば、耐用年数100年とし、内外装、設備などのリフォームも使用価値の回復、向上として評価に反映されることになりました。
新しい工法や技術など、日々進化してきているわけですから、耐用年数が伸びることは、自然なことだと思います。
そもそも「既存住宅価格査定マニュアル」って。
中古住宅の売り出し価格決める際に、不動産会社などの査定価格を参考に売主さんがいくらにするか検討します。
不動産会社によって多少の違いがありますが、査定学を提示する際には、その根拠も明示することになっています。
不動産流通推進センターの「価格査定マニュアル」は、不動産会社が査定する際のツールとして使い、査定額の根拠として利用されています。(これに準じた他のマニュアルを使用する場合もあるようです。)
改定されることで、評価基準の見直しの大きなきかっけになったようで、とある不動産会社のブログでは、旧基準での査定価格が241万円、新基準では632万円と大きく跳ね上がったと一例として紹介されておりました。
「既存住宅」って「中古住宅」ってことでしょ。
国土交通省、業界団体などが、イメージが良いとはいえない「中古住宅」を「既存住宅」と言い換えることで、イメージアップを図ろうとしたとのこと。
「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」、「中古住宅に係る建物評価手法の改善のあり方検討委員会」も中古じゃなくて既存に統一した方が良かったんじゃない。
売り出し価格があがることは、やっぱり買う方にとってはきついのかなあ。
まあ、買いませんけど。いや、買えませんけど。